Q&Aで学ぶ 汗(多汗症)に関する基礎知識

「汗」に対して、あなたは正しい知識を持っていますか?

手の平や足の裏から異常な量の発汗をしてしまう局所性多汗症を発症している筆者は、物心ついた幼少期から、この「汗」に関して、とても辛い経験を何度もしてきました。

自分自身でコントロールできない汗…
周囲の人からの理解を得られないことも多く、辛く悲しい思いを何度もしてきました。

汗の疾患は外的判断ができない疾患のため、周囲の理解が得られにくい疾患の一つです。
「汗=不潔、クサイ、気持ち悪い」というイメージがあるなか、何気なく言ったあなたの言葉で、身近な人が傷ついている可能性があります。

そこで、少しでも「汗」に対して、正しい知識を持ってもらいたいという想いから、汗に関する基礎知識をQ&A形式でまとめてみました。

多汗症でない人も、または多汗症を現在発症している人も、一度このQ&Aに目を通して頂ければ幸いです。

汗に関する基礎知識編

汗自体にニオイはある?

汗自体にはニオイはありません。

ニオイの主な原因は、高温多湿の環境で繁殖をした雑菌によるものと言われています。
特に足の裏は靴や靴下を着用することから高温多湿で蒸れやすく、雑菌が繁殖しやすい環境になりやすいため、強いニオイを発しやすい部位です。
また腋(ワキ)の下や乳首、陰部周りなど、主に体毛が生える部位からは「アポクリン腺」という汗腺から汗がでます。この汗には水分以外にもタンパク質・脂質・アンモニアなどを含んでおり、この成分を餌として、原因菌が繁殖することで強いニオイを発してしまうのです。

汗は我々ヒトの体において、なぜ発汗するのでしょうか?

主に体温調整のため

汗は蒸発するときに、皮膚から熱を奪い、我々人間の体温を一定に保つために発汗をします。
汗を発汗させて体温調節を行うのは、哺乳類ではヒトとウマのみです。
汗をかかないと、気温が高い場合や運動をした際に体温を下げることが出来ず、ヒトは生命を維持できません。

人間の汗腺(汗の出口)はどの程度あるでしょうか?

200~500万個

全ての汗腺から汗が出るわけではありませんが、私たちの体にはたくさんの汗を出す腺が存在しています。

緊張したり興奮したりするときに出てくる発汗を何というでしょうか?

精神性発汗

大勢の人前に出て緊張したり、重要な会議や試験で緊張したり、またはホラー映画をみたりスポーツ観戦をしてドキドキした時に、発汗する汗のことを精神性発汗と言います。
汗が出る部位は主に手の平や足の裏、ワキの下などの限定された部分のみで、短時間に局所的に発汗することが特徴です。

食べ物の摂取によって引き起こされる発汗を何というでしょうか?

味覚性発汗

カレーなどの香辛料が効いた辛い食べ物を食べた時に、反射的に起こる発汗のことで、味覚性発汗と言います。
特に額や鼻などから発汗しますが、基本的には食べ終わると自然と汗が引きます。
発汗することで、肝機能の働きを助ける効果があるとされています。

多汗症に関する基礎知識編

多汗症とは、そもそもどのような病気でしょうか?

過度な発汗で日常生活に支障がでる

多汗症には①全身に汗が増加する全身性多汗症と②体の一部の部位にのみ局所的に発汗量が増加する局所性多汗症があります。
全身性多汗症は、ほとんどの場合が多汗症以外の病気が疑われます。全身に汗がでる病気としては、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)や糖尿病、更年期障害、結核、白血病といったものがあり、なぜ異常な発汗が続くのかという原因自体は比較的突き止めやすいです。
局所多汗症は局所的(主に手の平、足の裏、腋、頭部)に過剰に汗が発汗される疾患です。汗を出せと脳に指令を出している交感神経が何らかの原因で失調し、完治困難な病気の一つでもあります。

局所性多汗症を発症している人は、日本ではどのぐらいいるのでしょうか?

人口の約5%

日本の場合、人口の約5%(約630万人)が局所性多汗症を発症していると言われています。人口の約5%ということは、100名中だと約5人、20人中だと約1人は局所性多汗症を発症している可能性があるということです。
20人に1人、ということは、各学校のクラスには1~2人は、多汗症の疾患を抱えている生徒がいる可能性があるということです。また、あなたが働く勤務先にも上記の割合で多汗症を発症している従業員がいる可能性があります。
しかし、多汗症は外的判断ができない疾患であるため、多汗症を患っていたとしても公にしないケースがほとんどであり、人知れず多汗症の悩みを抱えている人が多いのです。

手の平や足の裏から過剰発汗をする多汗症は、いつ発症(自覚)するのでしょうか?

幼少期から

主に手の平や足の裏からの局所的な異常発汗をする掌蹠多汗症(しょうせきたかんしょう)は、物心ついた幼少期から発症するケースが多く、クラスメイトから異常発汗をしていることをからかわれたり、気持ち悪がられたり、嫌な顔をされるなどの体験を通じ、ほとんどが小学生ごろには自覚するようになります。
汗をかきたくなくても、過剰発汗してしまう疾患のため、親や周囲の大人達はその疾患を理解する必要があります。「ただの汗っかき」と見過ごし適切なケアを怠ると、精神的負担・精神的苦痛がさらに増加し、メンタル面でも他の病気を併発(うつ病等)するリスクが高まります。

手の平の多汗症で、重度(レベル3)の症状とは、どの程度の症状を指すでしょうか?

手の平に水滴がつき、雫となって滴り落ちる

手の平の多汗症は、症状の程度レベル1~3で分類しています。
レベル1、レベル2、そして最も重症と言われるのがレベル3です。
手の平から汗が溢れ出し、滴り落ちるということを、あなたは想像できますか?

手は日常生活で普段からよく使う部位であるため、レベル2または3程度になると、日常生活に大きく支障を来します。紙類はすぐに汗でふやけてしまいますし、細かい作業は滴る汗によりうまく作業ができないため、常に不便さが付きまといます。
また、近年で言うとスマートフォンの液晶画面の指での操作や、PCのキーボード入力時にも、この過剰に発汗する汗の影響で大きな支障が出ます。精密機械であるこれら機械は水に弱いため、機械の故障に繋がったり、スマホの画面、PCのキーボードには水滴の跡が残ってしまうため、機器への汚れが目立ってしまいます。

多汗症患者が併発する疾患で、多いものは何でしょうか?

不安症
対人恐怖症
うつ病

多汗症は自分自身で発汗をコントロールできない、れっきとした「疾患」であるにも関わらず、まだまだ認知度が低いことから、周囲の人々になかなか理解されず、精神的苦痛を受けることが多いです。
嫌な顔をされたり、時には冷たい言葉を投げかけられる事も多く、精神的苦痛や疎外感、また自分自身の汗のことを恥ずかしいと思うようになり、人とのコミュニケーションを怖がったり、避けるようになり、結果として精神的ダメージを蓄積していく結果となります。
自ら望んでこのような体質に生まれついたわけではないのに、一方的に偏見の目で見られることは、とてつもない苦しみとなります。

汗(多汗症)に対して正しい知識を

いかがでしたでしょうか?

汗については、洗濯洗剤や衣服の消臭剤などのテレビCMや広告などの影響もあり、自然と「汗=不潔、クサイ」というイメージが持たれやすく、汗の疾患を患っている人々にとっては、一方的な偏見の目で見られてしまうことがとても多いのが現状です。

また、多汗症は生命に危険が及ぶような疾患ではないため、その深刻さもあまり取り上げられにくいのですが、現代の医療を持ってしても特効薬となるような医薬品は開発されておらず、完治困難な疾患であり、また精神的苦痛を受けることが多い疾患でもあるため、うつ病を併発し、自ら命を絶つ人もいるほど、精神的に追い詰められてしまう病気でもあるのです。

あなたが何気なく言った一言や、一方的な「汗」へのイメージを通して見つめる視線により、知らず知らずのうちに誰かを傷つけている可能性があります。
どうか、汗や多汗症という病気に対し正しい知識を持ち、汗をかく人もあまりかかない人も、今の自分を愛することができ、ありのままの姿を受け入れてくれる社会が作られることを、切に願っています。

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