「汗」と聞くと、どんなイメージを思い浮かべますか?
「汗臭い」「洋服に出来た汗シミ」「体がベタつく」
等、ほとんどの方が「汗」に対してネガティブなイメージを思い浮かべるのではないでしょうか。
そんなネガティブなイメージの「汗」ですが、実は私たちが流す汗には2種類の汗があります。
今回はこの2種類の異なる汗について、何がどのように異なるのか、また手汗・足汗との関係はどのようなものなのか、詳しく説明していきます。
2種類の汗腺(エクリン腺とアポクリン腺)
私たち人間の皮膚には、エクリン腺とアポクリン腺という、2種類の汗腺があります。
冒頭、『私たちが流す汗には2種類の汗がある』と書かせていただきましたが、正確には汗を出す腺(汗腺)が2種類存在し、その汗腺ごとに出てくる汗がそれぞれ異なる特徴を持っているのです。
では、それぞれの汗腺からでる汗の特徴を見てみましょう。
エクリン腺
エクリン腺は、唇などの一部を除き、ほぼ全身の皮膚に分布している汗腺のことです。
分泌される汗は99%が水分、1%が塩分(尿素・アンモニアも含む)であり、ほとんど無味無臭であることが特徴で、主に体温調節のために汗を出している汗腺となります。
アポクリン腺
アポクリン腺は、ワキの下や性器周辺(陰部や乳首)の限られた部分にのみある汗腺のことで、特にワキの下の皮膚に多く分布しています。
分泌される汗はエクリン腺とは大きく異なり、70%~80%の水分と、タンパク質・脂質・アンモニアなどの臭いの元となる成分が多く含まれており、いわゆるワキガや体臭といった臭いの原因になる汗を出している汗腺がアポクリン線です。
汗腺と手汗・足汗との関係について
では、手汗や足汗はどちらのエクリン線・アポクリン腺のどちらから出る汗なのでしょうか?
アポクリン腺(臭いの原因になる汗)は、ワキの下などの体の限られた部分にしかない汗腺のため、手汗や足汗はエクリン腺から出る汗と言えます。
確かに手汗で30年以上悩んできた私ですが、手の平にどんなに大量の汗をかいても、手汗自体を「臭い」と感じたことは一度もありません。
これは、臭いの元となる成分を含んでおらず、99%が水分で出来ている汗のため、どんなに汗をかこうと、適宜ハンドタオルで拭き取っていた筆者にとっては、特段臭いは感じなかった、ということなのです。
しかし、足汗はどうでしょうか?
臭いの元となる成分が入っていないエクリン腺から出た汗にも関わらず、靴下や靴底から嫌な足のニオイがしたことはありませんか?
私の過去の経験からの話になりますが、私はかなり足汗もひどい体質のため、外出して帰宅するころには、足汗でぐっしょり靴下や靴底が湿っていることが日常茶飯事です。
そして、靴を脱いだ途端にあの嫌な足の臭いがツーンと漂ってくることもしばしば。
夏場は特に足も蒸れやすいため、足汗と同様、足の臭いについても大きな悩みの種でした。
足汗はエクリン線から出る汗であり、臭いのある成分はないはずであるのに、足汗が臭いのはどうゆうことなのでしょうか?
足汗にニオイがある理由
エクリン腺から出る汗自体にニオイはありません。
したがって、本来足の裏自体も無臭のはずです。
しかし、実際には強いニオイを発することがあります。
この足の裏から出る嫌なニオイは、足の皮脂や、皮膚・汚れを餌に繁殖した雑菌から出る排泄物の腐敗が原因と言われています。
足の裏はエクリン腺が他の部位よりも集中しているため、より多くの汗をかきます。さらに雑菌たちは高温多湿の環境でより繁殖するという特徴を持っているので、靴下や靴を履くことで足裏が密閉され、より雑菌が繁殖しやすい環境となります。
結果的に足裏に局所多汗症を患う人は、不本意ながら、雑菌たちが繁殖しやすい環境を作り出してしまい、ニオイが出てしまっているのです。
足裏も手の平と同様、適宜ハンドタオルで拭き取ったり、通気性をよくして雑菌が繁殖しにくい環境を作ることができれば、足裏のニオイの悩みは解決されますが、現実問題、足裏をこまめにタオルで拭き取ったり、靴を履かずに裸足で生活することは不可能なため、多汗症患者にとっては、画期的な解決方法を見つけるのは難しいのです。
足裏のニオイを軽減するには、まず足裏からでる足汗を抑えることが一番重要です。
高温多湿の足裏環境の改善なくして、このニオイの悩みは解決できません。
言い換えると、足汗を改善すれば、足裏のニオイも改善するということです。
1日でも早く、足汗&足裏のニオイの悩みが解決できる方法を探し、同じ悩みを抱えている多くの方の参考となれるよう、頑張りたいと思います。