手汗のETS手術で後悔しないために!副作用のリスクと他の治療方法

毎日の日常生活にも支障を来すレベルの酷い手汗で悩んでいる場合、手汗を止める最終手段である「ETS手術(胸腔鏡下交感神経節遮断術)」を検討されている方も多いと思います。

ETS手術を受ければ、手汗が止まる!
もう手汗に悩まない生活を送りたい!

このように考え手術を検討するのは、酷い手汗で悩んでいる人なら、誰しもが思うことでしょう。

しかし、気になるのは、本当に満足のいく結果になるの?副作用のリスクはどの程度起きてしまうの?ということだと思います。
実際この記事を読まれているあなたも、副作用のリスク(代償性発汗)について、深く悩みをを抱えていらっしゃると思います。

今回は、幼少期より酷い手汗で悩んでいる筆者が、ETS手術のことを徹底的に調べ、まとめてみました。
また、専門家ではありませんが、長年手汗・足汗で悩む多汗症の第一線にいる当事者だからこその視点で、私の考えや意見も織り交ぜております。

良いことも、悪いこともすべてを知り、「ETS手術」について、ご自身の中で納得のいく答えが見つかれば幸いです。

ETS手術とは?手術内容と効果・副作用について

手の平からでる大量の汗は、そもそも「交感神経」が何らかの理由で過敏に働きすぎ、脳へ異常な発汗を伝達してしてしまっていることが原因と言われています。

ETS手術とは、その原因となっている交感神経を手術により遮断することで、「汗を出せ!」という伝達自体を行わせないという、汗自体を出なくし、多汗症の完全完治を目指せる治療方法です。

手術の効果は遮断する交感神経によって変わる

主に手の平の発汗に関わるとされている交感神経は、第2交感神経、第3交感神経、第4交感神経と言われており、数字が小さい交感神経を遮断するほど、手汗を止める効果は高いとされています。
遮断する交感神経別に、手術の効果の違いを簡単にまとめてみました。

第2交感神経 手の平・顔の汗が全くでなくなります。
第3交感神経 手の平の汗は全くでなくなります。
第4交感神経 手の平の異常な汗はとまります。

このように比較すると、第2、第3の交感神経を遮断すれば、手の平の汗が完全に止まるため、そこを遮断すればいいのでは?と思ってしまうのですが、数字が小さい交感神経を遮断するほど、後述する手術の副作用「代償性発汗」がひどくなるという結果が報告されています。
このため、「汗を止める」と「代償性発汗」の2つのバランスを取ることが非常に重要とされており、ETS手術では世界的にも第4交感神経の遮断が推奨されています。

第4交感神経の遮断については、手の平からの異常な汗はとまりますが、全く汗が出なくなるというわけではなく、少しは出てしまうようです。
しかし、今まで悩まれていたほどの異常な発汗は止めることができるため、普段の日常生活は大きく改善すると言えるでしょう。

副作用「代償性発汗」について

前項でも触れましたが、ETS手術には「代償性発汗」という副作用があります。
手の平の汗が出なくなる代わりに、他部位からの発汗量が増してしまう、という副作用です。主に、胸、背中、お尻、太もも周りなどの体幹部の汗が増加するとされています。

代償性発汗は、元々の手汗の重症度との相関関係はないとされています。
つまり、手の平から出ていた大量の汗が他部位へ移るというわけではないため、手汗が酷い方が手術を受けたからといって、代償性発汗が酷くなるというわけではありません。

副作用のリスクは、遮断する交感神経に影響する

ETS手術を行うと、ほとんどの方が代償性発汗を発症するとされています。
しかし、遮断する交感神経により、この代償性発汗の重症度も大きく影響するとされているため、どの交感神経を遮断するかは、事前に十分な説明を受けておくことが非常に重要です。

前述したように、第2交感神経、第3交感神経、第4交感神経のうち、数字が小さい交感神経を遮断するほど汗を止める効果が高くなりますが、副作用である代償性発汗についても、数字が小さい交感神経を遮断する程、症状が重く出ると言われています。

手汗を完全に止めたいと考えている場合、効果が確実な第2、第3の交感神経を遮断したいと思われる方もいるかもしれません。しかし、完全に手汗がでなくなる効果と引き換えに、代償性発汗が重くなり、体の他の部位から出る汗の量により、深刻な悩みに繋がってしまう可能性が高いため、手汗を止める目的であれば、第2、第3の交感神経を遮断するETS手術は絶対に避けるべきです。

さらに、第2・第3の交換神経を遮断した場合、手汗が完全に出なくなる副作用として、冬場などに手が乾燥してしまうという症状が起こります。そのため、ハンドクリームなどを塗り保護をしないと、ガサガサになってしまうという、別の悩みも出てきてしまうのです。

代償性発汗の部位と症状の程度

代償性発汗では主に、胸、背中、お尻、太もも周りなどの体幹部の汗が増加すると言われています。
どのような場合に代償性発汗が起きるかと言うと、

  • 気温が高い場合
  • 運動をした時
  • 刺激のある物を食べた時

上記のような、いわゆる誰しもが汗をかくような状況時に、今まであまり気になっていなかった、胸、背中、お尻、太もも周りからの発汗が増加します。

仮に、代償性発汗の増加量が日常生活を送る上で一般的な発汗量の範囲内であったとしても、多汗症でこれまで悩んでいた方の傾向として、手術後の代償性発汗による他部位からの発汗量の増加を「苦痛」と感じてしまう事が多いようです。

というのも、多汗症で悩んでいた方は、手汗や足汗などの多汗症の症状を患っている部位以外からの汗は元々あまり気にならなかったという場合が多く、代償性発汗による他部位からの突然の発汗量増加に戸惑ってしまう傾向があるのです。

また、どの程度、代償性発汗の症状を患うかについては、上述した遮断する交感神経による影響だけでなく、かなりの個人差があるようです。
実際には、下記のように代償性発汗の程度は大きな開きがあります。

  • 全く気にならない。
  • 発汗は多少増えたが、気になるほどではない。
  • 着替えを常に持ち歩く必要があると感じる程、発汗が増えた。
  • 衣類が濡れて、水を被ったかのようになる程、発汗が増えた。

衣類を替えないといけないほどの発汗量になってしまった場合、手汗がいくら止まったとしても、日常生活が快適に送れるようになったとは言えないでしょう。

また、どの程度の代償性発汗が生じてしまうのかは手術前に予測することはできないため、中には思っていたよりも代償性発汗が気にならないという人もいれば、こんなはずじゃなかった、と後悔する人もいます。

代償性発汗のリスクを最小限に抑えるには?

代償性発汗が軽度に抑えられ、かつ手術を受けて満足していると回答する割合が一番高いのは、第4交感神経の遮断手術を受けた方です。手汗を抑える目的で ETS手術を検討している方は、リスクを最小限にするためにも、第4交感神経の遮断手術を実施することを最優先にお考えください。

また、先ほど述べた通り、代償性発汗がどの程度生じるかは手術前に事前に予測することは不可能であるため、両手同時の手術ではなく、片手づつの手術を行い、代償性発汗の経過観察をすることも推奨されています。

ETS手術を実際に受けた方の感想・経験談

実際にETS手術を行った方の感想や経験談をまとめてみました。
Twitter上に投稿されていたものを転載させていただきます。
ETS手術を検討されている方は、是非とも下記内容をご参考にしてください。

他にも、ETS手術を受けた感想や経験談がTwitter上には多く投稿されています。
投稿されている内容としては、代償性発汗が酷い、または代償性発汗で新たな問題が生じてしまったと投稿されている内容の方が多く、代償性発汗があまり気にならないと投稿している内容の方が少ないと感じました。
(あまり代償性発汗が気にならない方は、そもそもTwitter上に汗のことを投稿しないのかもしれません。)

ETS手術に対する筆者の考え

筆者である私自身は、ETS手術を受けていません。また今後も受ける予定はありません。
もちろん、手汗レベル2~3の重症の部類に入る私なので、これまでETS手術を検討したことは何度もありました。病院に行って相談をした経験もあります。
この忌々しい手汗が消えてなくなるのならば、どんなにも良いのだろうと思ったことも何度もあります。

しかし、私がETS手術をしないと決断した理由は、下記の考えに至ったからです。
よろしければ、私の考えをお読みいただけると幸いです。

他の治療方法でも手汗の症状は改善する

まず始めに伝えたいことは、ETS手術を受ける前に、他の治療方法を今一度試して欲しいと言うことです。

酷い手汗に悩む多くの方は、多汗症を治したい!普通の人のような汗で悩まない生活をしたい!と考えると思います。
しかし残念ながら多汗症という疾患は、完治困難な病気の一つであり、「治療方法が確立しておらず、生活面への長期にわたる支障がある疾患」という難治性疾患克服研究事業の研究奨励分野に指定をされるほどの、難治性の疾患であるということをご存知でしょうか?
(参考:難病情報センター原発性局所多汗症(平成23年度)

私は相談に行った病院の先生から、下記のようなアドバイスを貰ったことがあります。

お医者さん

お医者さん
多汗症は完治させる病気ではそもそもありません。
完治させることばかりに意識を向けず、今の汗と上手に付き合っていき、生活の質を上げ、ストレスがない毎日を送ることが最も重要なことです。

今まで多汗症という疾患自体を、自分自身でも受け入れられず、「何とかしたいけど何とかならない」という答えの出ない悩みを、ずっと抱き続けていました。
しかしこの先生の一言で、「多汗症と上手に付き合うことができれば、毎日の生活の質があがり、ストレスが減るのかも!」と180度考え方を変えることが出来ました。

自分自身が多汗症であることを受け入れたうえで、いかに最小限のストレスで日常生活を送るか。そのためには、どうすればいいのか。
「汗と上手に付き合う」という考えは、今まで私の頭に浮かぶことはなかったため、この考え方で生活してみたら、きっと今までと何かが変わるかもしれない、と思ったことを覚えています。

それまでは、「一か八かになるけど、ETS手術以外、この手汗の悩みを解決することは出来ない!」と、ギリギリのところまで追いつめられていたのですが、私はこの先生から頂けたアドバイスで、ETS手術以外の道を模索するようになりました。

今まで一通り多汗症の治療は受けてきましたが、今一度多汗症の治療を全て試してみることからスタートしました。

目的別で異なる治療方法

今まで多汗症の治療方法について、あまり深く考えてこなかったのですが、改めて見直してみると、大きく分けると下記の2つの治療方法があることがわかりました。

  1. 症状緩和(症状改善)のための治療方法
  2. 症状完治のための治療方法
症状緩和のための治療方法とは

症状緩和のための治療方法とは、多汗症の完全完治の治療ではなく、汗の発汗を抑える治療法を指します。比較的副作用が少ない治療が多く、多汗症と上手に付き合い、毎日の生活の質を上げるための治療方法です。

代表的な治療としては下記の治療方法が挙げられます。

  • 塩化アルミニウム液での治療
  • イオントフォレーシス療法
  • 内服薬(プロバンサイン)の服用
  • ボツリヌス毒素療法(ボトックス注射)

上記の治療方法は、いずれも多汗症を完全に治すことはできません。
しかしながら、継続して治療を行うことにより、効果の差はあるものの、一定期間汗が出ずらくなったり、汗をうまくコントロールすることが可能な治療法です。

即効性がなかなか出にくい治療もあるため、「効果がなかった」と判断しがちですが、継続治療をすることにより、現状よりも症状が緩和・改善することが出来る、多汗症治療において、とても有効な治療方法です。

各治療方法の詳細や、効果については、こちらの記事でまとめています。

異常なほどの手汗、足汗、ワキ汗などに悩む局所性多汗症患者数は、日本の人口の約5%(約670万人)にも上るといわれていることをご存知でしたでしょう...
症状完治のための治療方法とは

症状完治のための治療方法とは、ETS手術のことを指します。
その漢字の通り、手の平の多汗症を「完治」させるための治療方法のため、多汗症を発症していた部位は完治させることができますが、その分、代償性発汗という大きなリスクを伴う治療方法です。

筆者が目指すのは、ストレスを減らし、毎日の質を向上させる、「症状緩和(症状改善)のための治療方法」です。
現在も塩化アルミニウム液の効果的な使用や、市販されている手汗対策用のクリーム等をうまく使いこなすことで、以前に比べストレスがだいぶ軽くなったと思っています。

手の平は汗をケアしやすい部位

ETS手術をしないと判断した理由として、もう一つ上げられる理由としては、手の平は汗をケアしやすい部位だからです。

汗をケアしやすい部位とはどうゆうことかと言うと、手の平は常に衣服から出ている部位のため、例え汗が出て来てしまったとしても、容易にハンドタオルで拭き取ったり、手をよく洗い流し、清潔な状態にしてから、手汗対策用のクリームを塗ることができる部位であると言えます。

しかし、ETS手術を受けて代償性発汗が出る場合、主に、胸、背中、お尻、太もも周りになるため、衣服の下に隠れる部位からの発汗となります。
そうなると、代償性発汗が軽度であれば問題ないのですが、仮に手汗と同じぐらい日常生活に支障をきたすレベルの代償性発汗が伴った場合、今までの手の平とは異なり、容易にハンドタオルで拭き取ったりすることが出来なくなります。

こう考えると、今の手汗の方が、容易にハンドタオルで拭き取ることが出来ますし、また症状緩和の各種の治療方法により、うまく手汗と付き合って行った方がまだメリットが多いのではないか?という考えに至りました。

汗のケアしやすさも、手術を受けるにあたり、重要なことだと考えるべきです。

多汗症を理解してくれる人を増やすことが、一番の治療方法

多汗症を患っていると、どうしても「恥ずかしい」「人に知られたくない」と思われると思います。
しかし筆者の経験上、あなたの大切な人、あるいは信用がおける人、例えば、家族や友達、恋人などには、なるべく早く悩みを打ち明けて、症状を理解してもらうことが、一番の治療方法であると感じます。

自分の悩みを打ち明けて、嫌われたらどうしよう、気持ち悪がられたらどうしよう、という不安な気持ちもわかります。なので、誰でも気軽に打ち明けることはオススメしません。
しかし、自分が心から信用できる人と思える人であれば、あなたの悩みをきっと「気持ち悪い」と思うことはないと思います。
多汗症の症状を理解してもらえる存在がいることは、この病気を患いながら生活する上でとても大きな存在になるはずです。

実際筆者の場合、多汗症の症状を理解し、私と一緒に多汗症の症状をいかに改善する方法があるかを一緒に模索してくれている、夫や私の両親の存在はとても大きいです。
手汗が出てしまっても、「また手汗出てきたー。ほんと嫌になっちゃう!」と気軽に打ち明けることが出来ますし、一緒に生活をする上で、手汗を気にせずに生活が出来ることがどんなにストレスの軽減に繋がっているか、ということを日々実感しています。

症状緩和のための治療方法を継続しているからかもしれませんが、私の手汗の症状が緩和した理由は、こうした多汗症のことを理解してくれる人の存在も、とても大きいと思います。

ETS手術は最終手段と考える

手汗を止めたい!何とかしたい!と思う気持ちは十分にわかります。
手汗を止めることができるETS手術を知り、「私にはもう手術しかない!」と思い詰めてしまう気持ちも分かります。
しかしETS手術は、あまりにリスクが高い治療方法であることを、十分に理解する必要があります。

酷い手汗で未だに悩む筆者ではありますが、ETS手術を受けずとも、塩化アルミニウム液での治療方法等、多汗症の有効的な治療法により、上手に自分の手汗と付き合いながら生活しています。
ですので、きっとあなたにも、ETS手術以外の道も必ずあると考えています。

少しでも、ETS手術に対し、「怖い」「不安」と思う気持ちがある場合は、絶対に手術を受けることは辞めるべきです。
代償性発汗のリスクを十分に理解し、あまりにも手汗に対するストレスが高い場合や、細かな作業が必要な仕事に携わっている方など、ETS手術を受ける必要がある場合は、専門病院でよく相談をしながら、後悔のない決断をしましょう。

この記事を通し、「ETS手術」について、ご自身の中で納得のいく答えが見つかれば幸いです。

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