私の足って実はかなりクサイかも…
足汗が酷く、足の裏が蒸れて、人前で靴を脱ぐことをためらってしまう。
あなたは、このような足汗や足のニオイに関する悩みを抱えていませんか?
足汗や足の裏のニオイで悩む人は意外と多く、周囲の人に相談しづらい内容から、人知れず悩みを抱えている人は少なくありません。
また日常生活にも支障を来す酷いレベルの足汗の場合、「足蹠多汗症(そくせきたかんしょう)」と言う病気の可能性があります。
足汗を防ぎ、少しでも快適な状態に保つためには一体どうすればいいのでしょうか?
本記事では、長年、足蹠多汗症で悩む筆者が、足汗の原因と改善方法について、徹底的にまとめてみました。
目次
足汗とニオイのメカニズム
「足汗が酷すぎて、靴や靴下が蒸れてニオイがやばい」
「足汗をかきすぎて、サンダルを履くと足が滑ってうまく歩けない」
「フローリングを裸足で歩くと、足跡がつくぐらい汗の水滴がついてしまう」
このような足汗に関する苦い経験をしたことはありませんか?
上記のような悩みがある場合、日常生活にも支障を来すレベルの足汗と言っても過言ではないため、「汗っかき」という体質ではなく、「足蹠多汗症(そくせきたかんしょう)」という病気の可能性があります。
ではそもそもなぜ、足の裏から多量なほどの汗が出るのでしょうか?
またなぜ、足の裏から強烈なニオイが出てしまうのでしょうか?
足裏はもともと汗をかきやすい部位
足の裏は、背中や腕などの他の部位に比べ、汗が出る腺(汗腺)が密集している部位のため、汗をかきやすい場所のひとつです。
通常の範囲でも、1日当たりコップ1杯ほど(約200cc)の汗が発汗される場所であり、もともと汗を感じやすい場所なのです。
このため、ちょっとした温度の変化や、緊張や興奮などの精神的なものによっても、大量の汗をかきやすくなってしまいます。
足裏のニオイの原因は雑菌の繁殖
信じがたいかもしれませんが、本来足裏から発汗される汗自体にニオイはなく、足の裏から出る嫌なニオイの原因は、足の皮脂や、皮膚・汚れを餌に繁殖した雑菌から出る排泄物の腐敗が原因とされています。
雑菌たちは高温多湿の環境でより繁殖するという特徴を持っているため、靴下や靴を頻繁に履く足裏は、他の部位に比べ、密閉され、体温もこもりやすいことから、汗が発汗しやすく、不本意ながら高温多湿の環境を作り上げ、雑菌が繁殖しやすい環境となっています。
発汗する汗の量や、体温などの熱のこもり具合にもよりますが、足裏から出る悪臭は、繁殖した雑菌が多ければ多いほど、きついニオイとなるのです。
汗のニオイに関しては、こちらの記事で詳しく説明しています。
足汗がでる原因を突き止める方法
では、なぜ足汗が大量に出てしまうのでしょうか?
あなたの足汗がなぜでてしまうのか、原因を突き止めていきましょう。
多汗症かどうか、まずはセルフチェックを
まず疑われるのは、異常な発汗量の原因が「足蹠多汗症(そくせきたかんしょう)」という、足の裏から異常な量の汗が出てしまうという病気の可能性です。
まずは下記のセルフチェック表を用いて、多汗症かどうか自己診断を行ってみましょう。
<基本問診>
- 子供のころから汗の症状に悩んでいる。
(25歳までに症状に気が付いている) - 少なくても週に1度以上は大量の汗をかいてしまう。
- 特に緊張・興奮しているという自覚がなくても大量の汗をかくことがある。
- リラックスしている時などは汗をかかない場合もある。
<よくある症状>
- 足がよく蒸れてしまい、足のニオイが気になる。
- 靴下がしっとり湿るぐらい、足汗をかいてしまう。
- 裸足でフローリングに立つと、立った場所に水滴がつくことがある。
または足跡がクッキリと残る。 - サンダルを履くと足が自分の足汗により滑ってしまい、うまく歩けないことがある。
複数の項目が当てはまる場合は、足裏の多汗症「足蹠多汗症(そくせきたかんしょう)」である可能性が非常に高いです。
適切な治療を行わない限り、症状の改善は見込めませんので、専門病院での受診をはじめ、後述する治療方法を確認し、あなたにあった改善方法を見つけていきましょう。
多汗症の症状に該当しない場合は、下記の原因を確認していきましょう。
精神性発汗
主に緊張した時や興奮した時、またストレスがかかったり、何か不安に思うことがある場合に足裏から異常な発汗をしてしまう場合は、精神性発汗が疑われます。
精神性発汗とは、緊張や不安、ストレスといった精神的な要因で汗をかくことを指し、体温を調節するために汗をかくのとは異なり、体の全身からの発汗ではなく、手の平や足の裏といった部分的な部位からのみ汗をかくことが特徴です。
例えば、
- 大勢の人前で話をするとき
- 重要な面接を受けるとき、またはプレゼンをするとき
- 好意を持っている異性にアプローチをするとき
このようなシチュエーションの際にのみ局所的に大量の汗をかいてしまう場合は、精神性発汗であると言えるでしょう。
精神的に追い込まれた緊張状態に陥ることで、汗の発汗を脳に伝達する交感神経が活発化し、その結果、汗腺が刺激されて汗が出てしまうのです。
精神性発汗の場合は、余計な「不安」や「緊張」をいかに取り除くことができるかが、汗の症状を緩和できるかどうかの鍵となってきます。
後述する、プロバンサインという多汗症対策に有効な内服薬を「ここぞ!」というときに使用するだけでも、「薬を飲んでいるから汗はかかない」という安心材料になり、症状改善に効果があると言えます。
また、過度な緊張や不安、ストレスがある場合は、一人で溜め込まず、周囲に相談をし、不安を取り除くことも有効と言えるでしょう。
履きなれない靴、履きづらい靴を履くと、歩くことに緊張するせいか、足裏から汗をかいてしまうことがあります…。特に女性の場合は高いヒール靴を履く際など、足が極度に緊張し、発汗量が増すことがあるようです。
足裏のムレ、不衛生からくる発汗
靴や靴下を1日中履きっぱなしという場合、靴や靴下の中がムレ、熱が発散されずに籠ってしまうことにより、体温を下げるために余計に汗が発汗してしまう、という悪循環に陥ることがあります。
特に冬場は、ブーツをはじめとする通気性が悪い靴を履く頻度が増えたり、厚手のタイツや靴下を着用する機会も多く、足裏はただでさえムレやすく、発汗量が増えます。また冬場は気温が低いため、一度湿った靴底や靴下は、なかなか乾かず、ジメジメした不衛生な状態が続くことも。
こうした不衛生な環境に足裏をさらしてしまうことで、雑菌の繁殖が進みニオイの原因になったり、ムレることにより熱が発散されずに余計な汗をかいてしまうのです。
冷え性からくる発汗
冷え性の場合も、足汗が多くでてしまう原因のひとつと考えられます。
多汗症のセルフチェックにはあまり当てはまらず、秋~冬に特に足汗の悩みを抱える場合は、冷え性からくる発汗の可能性があります。
冷えからくる発汗とは、簡単に説明をすると、足先が冷えてしまうことにより脳が体温をあげろ!という指令を出すため、足裏に多くの血液を送ります。急激に血液が集まってしまうことにより、突然の熱に驚き、足裏自体は汗をかいて体温を冷まそうとする、逆の働きが起きてしまうのです。
冷えからくる発汗を改善するには、足先をとにかく冷やさないことが重要です。
足汗を改善する方法
では、足汗を改善するには、どのような方法があるのでしょうか?
少しでも酷い足汗の症状を緩和し、かつ効果が比較的感じやすい方法をご紹介いたします。
塩化アルミニウム液を使った治療方法
この治療方法は簡単に説明すると、塩化アルミニウムを溶かした水溶液を足の裏に十分に塗り込むことで、汗の出口(汗腺)にフタをし、汗自体が出てこないようにする治療方法です。
塩化アルミニウム液は制汗作用が強く、汗の異常発汗の病気「多汗症」においても、治療の第一選択肢とされるほど、その制汗効果が高いと評価されている薬剤です。
塩化アルミニウム液は専門病院からの処方以外にも、濃度が低くはなりますが、市販薬でも塩化アルミニウム配合の制汗剤が発売されていることから、ネット通販や近くの薬局でも比較的簡単に手に入れやすく、かつ価格も手頃なため、すぐに汗への治療をスタートさせることが可能です。
塩化アルミニウム液の効果的な使用方法や市販薬の紹介などについては、こちらの記事を参考にしてください。酷い足汗に悩んでいる方はぜひこの治療方法を試してみることをオススメします。
プロバンサイン(内服薬)の使用
プロバンサインとは、自律神経の交感神経の作用を弱める薬で、「汗をかけ」と指令を出している交感神経の情報伝達をカットする効果をもたらす内服薬です。
この薬は日本で唯一多汗症の薬として認可が下りており、保険診療内で購入が可能なため、自己負担3割で購入が可能な内服薬です。
病院によっては処方されにくいこともあるようなので、汗の疾患を診てくれる病院にかかると良いでしょう。
残念ながら、服用すれば誰でも汗がピタッと止まるわけではなく、効果については個人差があります。効果が高い場合は、服用後1時間~5時間程度、汗が抑えられますが、効果をほとんど感じられないという人もいるようです。
プロバンサイン服用の注意点としては、足裏だけでなく、全身の発汗が止まる薬のため、夏場などは体温調節のための発汗も止まってしまい、熱中症に陥るリスクが高まります。
また、その他にも口の渇きや眠気、便秘などの副作用がでる可能性もありますので、服用の際は医師から十分に説明を受けた上で、服用するようにしましょう。
速乾性の高い靴下やストッキングの着用
足汗を減らすには、足裏を清潔な状態に保つことが一番です。
靴下やストッキングを着用するときは、できるだけ速乾性の高いものを身に付けるようにしましょう。
筆者自身の見解ではありますが、速乾性の高いものと、そうでないものを比較すると、生地の素材や通気性など、足のムレ感が全然違います。
このようにムレを出来る限り逃がすことで、足汗や足のニオイは改善していくことが見込まれます。
また靴下やストッキングがジメジメっとムレ始めたら、できるだけ早めに清潔なものに交換する習慣も身に付けるといいでしょう。
また、女性の場合はなるべく素足で靴を履くことは避け、通気性の良い靴下やストッキングを着用し、細目に交換するように心がけましょう。
多汗症の疑いがある場合は、専門病院での受診を
前項のセルフチェックで複数の項目に該当した場合、また日常生活において支障を来すレベルの足汗だと感じられる場合は、一度多汗症の治療を行っている専門病院(皮膚科)への受診をオススメします。
塩化アルミニウム液やプロバンサイン(内服薬)での治療以外にも、多汗症の効果的な治療方法はいくつかあります。
水道水に患部を浸し、弱い電流を流すことで、汗腺の穴を小さくすぼめることにより、発汗量を抑える効果がある「イオントフォレーシス療法」という治療方法や、注射薬で交感神経から伝達される信号をブロックして、過剰な発汗を抑える「ボツリヌス毒素療法(ボトックス注射)」、また多汗症の完治を目指せる「ETS手術」など、あなたの汗に対するストレスの大きさや症状の深刻さによって、あなたに適した治療方法を提案してくれるはずです。
病院で受けることが出来る、各治療方法については、こちらの記事で詳細をまとめています。参考にして頂ければ幸いです。
足汗や足の裏のニオイに一人悩んでいる方は、まずは足汗がでる原因を知ることが何より大切です。その上で、足汗の改善方法を試し、上手に足汗を防いでいくことが重要です。
ぜひ今回ご紹介した内容をもとに、あなたの足元を快適に保って頂ければ幸いです。